工場の暑さ対策で生産性低下を防ぐ！社員の健康を守る方法も紹介

夏場の暑い環境でも工場の生産性を下げたくない
節電を行いながら実施できる効率的な工場の暑さ対策を知りたい

暑い季節がやってくると、このように考えている工場の担当者の方は多いかと思います。また、熱中症から社員の健康を守る必要性も感じているでしょう。

本記事では、効率的に行える工場の暑さ対策から手軽に使えるグッズ、熱中症対策について紹介しますので、参考にしてください。

工場の暑さ対策を行う目的

具体的な対策の方法を知る前に、暑さ対策を行う目的を確認しましょう。

主な目的は以下の3つです。

社員の健康を守る
工場の生産性低下を防ぐ
機械設備の故障を防ぐ

それぞれ解説していきます。

社員の命と健康を守る

暑さ対策を行う一番の目的は、社員の命と健康を守ることです。

気候変動による気温の上昇や高齢化人口の増加の影響で、熱中症によって搬送される方や死亡される方は増加傾向にあります。工場内では、高温環境で作業することが多く、室温も上がりやすいです。対策を怠ると、命を失うことにもつながります。

以下のような事例を参考にして、適切な対策を行うようにしましょう。

＜参考サイト＞
板バネ製造工程で焼き入れされた板バネの検査作業中、作業者が熱中症にかかる
(引用元：厚生労働省「職場のあんぜんサイト：労働災害統計」)

工場の生産性低下を防ぐ

高温環境での作業は、集中力の低下や体力消耗の原因となります。結果的にパフォーマンスの低下を招き、生産性が減少します。暑さによる体調不良が原因で欠勤者が出る場合も、生産性に影響を及ぼすでしょう。

1週間のうちの最高気温が、35度以上の日が1日増えることで、1日あたりの生産量が週平均で4〜8%減少したとの調査結果も出ています。生産性低下を防ぐためにも、暑さ対策を行うことは重要と言えるでしょう。

(引用元：アジア経済研究所「第46回　暑すぎると働けない!?　気温が労働生産性に及ぼす影響《途上国研究の最先端》」（橋口善浩）)

WBGT値を把握して従業員の健康を守る

WBGT値とは暑さの指数であり、気温、湿度、日射・輻射熱を基に、高温環境下における熱中症のリスクを図るために使われています。同じ気温でも湿度、風、日差しなどの影響で熱中症のリスクは異なるため、WBGT値を活用しましょう。

厚生労働省も熱中症予防の指標として、WBGT値を低減するように述べています。25℃以上になると警戒領域となるため、適切に管理するようにしましょう。

(引用元：厚生労働省「職場における熱中症予防対策」)

WBGT値は「熱中症指標計(熱中症アラーム)」を使用して計測することができます。詳しくは「工場の暑さ対策に使えるグッズ」で紹介してますのでご覧ください。

工場の暑さ対策の方法

具体的な工場の暑さ対策は以下のようなものがあります。

それぞれ、詳しく解説していきます。

ビニールカーテンによる空調効率アップ

ビニールカーテンは工場や倉庫の間仕切りや、屋外での雨よけなどに使われます。工場の暑さ対策として使う場合のメリットは下記となります。

メリット

作業員が多く集まる場所など、特定の空間を間仕切りすることで空調効率を高めることが可能
工場の開口部を塞ぐことで夏場に日差しが入り込むのを防ぎ、工場内の温度上昇を抑える
設置や取り外しが容易で、工場内のレイアウト変更に柔軟に対応できる
空調設備と比較して低コストで導入でき、ランニングコストも安くできる

ビニールカーテンの空調効率に関しては「ビニールカーテンの空調効果について」で詳しく解説しているので参考にしてください。

メリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

デメリット

外部からの損傷により傷がついたり破れることがある
粉塵の発生など汚れがつきやすい環境では定期的なメンテナンスが必要となる

修理材に関しては「ビニールカーテン修理材・副資材一覧」、清掃方法に関しては「ビニールカーテンの消毒・洗浄・清掃方法は？」を参考にしてください。

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スポットクーラーによる効率的な冷却

スポットクーラーは移動可能な空調装置の一つで、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

特定の作業場所など、局所的な冷却を行うことができる
移動が容易に行え、作業場所の変更などにも柔軟に対応できる
大規模な設備工事が不要で、低コストで導入できる

デメリット

機器本体から発生する騒音により、作業環境によって適さないことがある
広範囲の冷却を行うためには、複数の機器を導入する必要がある

シーリングファンによる空気の循環

シーリングファンは天井に取り付けることで、空間全体の空気を循環させる設備の一つです。工場の暑さ対策として使う場合のメリットとデメリットは下記となります。

メリット

工場全体の空気を循環させることで、均一に優しい風を送り込める
空調の効果を高めることができ、電気代の削減も行える
夏場だけでなく冬場は暖かい空気を循環させることで暖房効果を高めることが可能

デメリット

広い工場向けのシーリングファンの導入にはコストがかかる
高い天井に設置されているため清掃などのメンテナンスに手間がかかる

遮熱シート・遮熱塗料による温度上昇の抑止

遮熱シート・遮熱塗料は建物の屋根に対して実施する対策で、太陽からの熱を遮断し、屋根の熱による工場内の温度上昇を抑止します。工場の暑さ対策として使う場合のメリットとデメリットは下記となります。

メリット

暑さの根本原因である太陽からの熱を遮断することで、工場全体の温度上昇を抑止できる
工場全体の温度上昇を抑制できるため、空調コストの削減も行える
大規模な空調設備を導入するよりも、低コストで実施できる

デメリット

広い工場で、広範囲に施工が必要な場合はコストが高くなる
シートの張り替えや塗り直しなどの定期的なメンテナンスが必要となる

換気システムによる工場内の換気

工場内の熱気を外に出すためには換気が必要となります。窓や扉からの自然換気を行う方法もありますが、空調効果が下がるなどの理由で困難なケースもあるでしょう。そのようなケースは専用の換気システムを導入する必要があります。換気システムのメリットとデメリットは下記となります。

メリット

工場内にこもる熱を排出することで、快適な作業環境を保てる
工場内で発生する有害物質などを排出し、新鮮な空気を取り込むことで、空気品質の改善も実現できる
換気を行うことでカビの発生や工場内の機械設備のサビを防止できる

デメリット

空調設備も同時に稼働させることで、ランニングコストが高くなる
大規模な換気システムはファンの稼働による騒音が発生することがある

工場の暑さ対策に使えるグッズ

工場の暑さ対策に使えるグッズは数多くあります。本章では、数千円から購入できるおすすめのグッズを紹介します。

冷却ベスト

冷却ベストは、保冷剤やファンなどで上半身を冷却する機能を備えた作業服です。熱中症予防にも効果があり、作業服としても十分な機能性があるため、工場や倉庫で作業される方におすすめです。

コンプレッションインナー

コンプレッションインナーは、上半身に圧力がかかるインナーで、主にスポーツをする方向けの商品です。身体の動きをサポートする機能があり、汗を素早く吸収し速乾機能もあるため、工場や倉庫で作業される方にもおすすめです。

帽子用保冷剤

帽子用保冷剤は、帽子の内側に入れることで、頭の中を涼しく保ちます。工場や倉庫では、ヘルメットの内側に入れることで、安全対策と同時に頭の中を涼しく保ってくれるため、おすすめの商品です。

ネッククーラー

ネッククーラーは首に装着して、首の横や後ろを冷やしてくれる商品です。熱中症対策は首まわりを冷やすことが大切と言われているため、夏場の暑さ対策として使ってほしいグッズの一つです。

熱中症アラーム

熱中症アラームは、「WBGT値を把握して従業員の健康を守る」で解説したWBGT値を計測する機械です。WBGT値が警戒領域に達した場合など、危険度に合わせてアラームで知らせてくれる機能があります。直接的に体を冷却する、これまでのグッズとは異なりますが、事前に熱中症を予防するためにも、是非使ってほしい商品と言えるでしょう。