冷凍倉庫の電気代を削減!今からできる効果的な方法を紹介
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冷凍倉庫は、常に冷凍・冷蔵設備の稼働が必要なため、近年の電気代上昇による運用コストの増加は大きな課題となっています。しかし、電気代対策の必要性を理解していても、何から始めたら良いのかわからず、まだ対策を講じていない企業もあるでしょう。
本記事では、電気代上昇の理由から電気代削減につながる有効な対策方法までを詳しく解説します。
- この豆知識の目次
- 電気代が上昇している理由
- 冷凍倉庫における電力の使用比率を把握する
- 冷凍倉庫における電気代削減の方法
- 冷凍倉庫内の温度を見直す
- 出入口からの外気侵入を防ぐ
- 冷凍設備のメンテナンスを行う
- 太陽光発電システムを導入する
- 屋根に遮熱シートを設置または遮熱塗料を塗る
- LED照明へ更新する
- 電力会社や契約プランの見直しをする
- 電気使用料が安い夜間に冷却を行う
- デマンド監視装置を導入する
- 商品の置き方を工夫する
- 冷凍倉庫の電気代に関するまとめ
電気代が上昇している理由
2022年11月ごろから電気料金の値上げ申請が相次いで行われ、2023年6月から大手電力7社の電気代の値上げが実施されました。
値上げ幅は電力会社によって異なりますが、約20%~40%の値上げとなり、申請前よりも2,000円近く上昇した地域もあります。そのため、今までと同じように冷凍倉庫を使用していても、運用コストが上昇してしまいます。
電気料金の値上げが行われた背景には、以下のような理由があります。
- ウクライナ侵略などに伴う世界的な燃料価格の高騰
- 円安による液化天然ガス(LNG)や石炭などの輸入価格の高騰
また、電気代の値上げに対する影響を軽減させる「電気・ガス価格激変緩和対策」が、2024年5月使用分から縮小します。実は、この緩和対策によって値上げ後の電気代でも、値上げを感じない状況になっていました。緩和対策の値下げ幅の縮小に伴い、安くなっていた電気代が大きく値上がるため、電気代の削減対策の重要性がこれまで以上に増しています。
冷凍倉庫における電力の使用比率を把握する
定温倉庫と冷凍倉庫の電力使用比率の主な項目を比較すると次のような違いがあります。
使用率 | 定温倉庫 | 冷凍倉庫 |
---|---|---|
1位 | 照明・コンセント(29.3%) | 冷凍・冷蔵(76.4%) |
2位 | 空調・換気(25.9%) | 照明・コンセント(7.4%) |
3位 | 冷凍・冷蔵(21.7%) | その他(5.8%) |
4位 | 動力(16.3%) | 動力(5.2%) |
5位 | その他(6.8%) | 空調・換気(5.2%) |
(引用元:東京都環境局「倉庫・冷蔵冷凍庫の省エネルギー対策」)
上記の表から分かるように、定温倉庫では項目ごとの割合に差が少ない一方で、冷凍倉庫では冷凍・冷蔵設備の電力使用割合が大半を占めています。
つまり、冷凍倉庫では冷凍・冷蔵設備の節電対策は高い効果が期待でき、他の部分の節電対策は効果が低いといえるでしょう。
そのため、冷凍・冷蔵設備を中心とした節電対策を進めることが大切です。
冷凍倉庫における電気代削減の方法
冷凍倉庫は、定温倉庫とは異なる設備に電力を使用しているため、定温倉庫と同じような節電対策では効果が薄く、電気代の削減につながらないことがあります。
ここでは、冷凍倉庫だからこそ高い効果が期待できる電気代削減方法を紹介します。
- 冷凍倉庫内の温度を見直す
- 出入口からの外気侵入を防ぐ
- 冷凍設備のメンテナンスを行う
- 太陽光発電システムを導入する
- 屋根に遮熱シートを設置または遮熱塗料を塗る
- LED照明へ更新する
- 電力会社や契約プランの見直しをする
- 電気使用料が安い夜間に冷却を行う
- デマンド監視装置を導入する
- 商品の置き方を工夫する
冷凍倉庫内の温度を見直す
冷凍・冷蔵設備の節電対策で重要なことは、保管している食品などから冷凍倉庫内の最適な温度を割り出し、品質に影響を与えない範囲で設定温度を上げることです。
(引用元:東京都環境局「倉庫・冷蔵冷凍庫の省エネルギー対策」)
冷凍・冷蔵設備は低温の中で稼働するので、稼働効率が低い状態で長時間稼働しています。さらに、冷凍倉庫内の温度が低くなるほど、外気負荷や伝導負荷などの負荷が増大するため、温度をキープするのに必要な電力が増加します。
倉庫内の温度を上げることは、こうした設備の稼働効率低下による電力増加の抑制につながるので電気代削減に有効です。
また、冷凍倉庫内の温度を1℃上げるだけで、約4%の省エネ効果が期待できます。
(引用元:独立行政法人中小企業基盤整備機構「冷凍庫と冷蔵(倉)庫の設定温度の緩和はどの程度有効?」)
必要以上に倉庫内を冷やしていないか定期的に確認し、1℃単位で温度調節を行うことが大切です。
出入口からの外気侵入を防ぐ
出入口から冷凍倉庫内へ外気が侵入すると、倉庫内の温度が設定よりも高くなるので、再冷却が必要になり、その分電力が消費されます。そのため、出入口からの外気侵入を防ぐことが効果的です。
具体的な方法として、高速シートシャッターを設置します。
高速シートシャッターを設置することで、人の出入りによる開放時間を必要最小限に抑えることができます。
また、以下のような効果もあります。
- 空間を区切るため冷凍倉庫内の冷却効率が上がる
- 霜の付着を防ぐため、冷却設備の性能低下や保存商品の品質低下を防ぐ
詳細は、「冷蔵冷凍庫タイプ-高速シートシャッター・門番の製品情報」をご確認ください。
また、出入口にビニールカーテンやのれんカーテンを設置する方法もあります。高速シートシャッターよりも安価に導入したい場合におすすめです。
詳細は「耐寒ビニールカーテン・シート一覧」、「のれん式ビニールカーテン一覧」をご確認ください。
冷凍設備のメンテナンスを行う
室内機や室外機のフィルター内部は、ホコリや塵によって汚れてしまいます。汚れたままだと稼働効率が低下するので、設定温度を変えていなくても余分に電力が消費されます。
そのため、冷凍設備の定期的な清掃を行い、常に最適な状態で稼働できるようにしましょう。
また、室外機に直射日光が当たっていると、熱によって空調効果が低下し通常時よりも多くの電力が必要になります。日除けなどを設置して、室外機に直射日光が当たらないような対策も行いましょう。
さらに、室外機の前に荷物などを置いておくことも消費電力の増加につながるため、室外機周辺の状況を一度見直すことが有効です。
こうした対策を講じても、思うように節電効果が出ない場合は、設備の更新が必要な可能性があります。現行設備は以前の設備よりもエネルギー効率が向上されており、設備を変えるだけで大幅な節電効果を発揮することがあるためです。
導入コストは必要なものの、電気代などのランニングコストを削減できるので、余裕がある場合は設備更新も選択肢に入れておきましょう。
太陽光発電システムを導入する
電力会社から電気を購入するのではなく、太陽光発電システムを導入し、自社で電力を賄うようにすることも電気代削減に有効です。
電力需要の高い時間帯と太陽光発電が行われる時間は同じであるため、電力価格が高いときに電力の購入を控えることで、電気代を着実に抑えられます。
また、倉庫の屋根など、空いているスペースを有効活用することで効率よく電力の自給自足が可能です。ただし、太陽光発電システムの導入には高額なコストが必要であり、定期的なメンテナンスも必要です。
初期コストだけでなくランニングコストもかかるため、太陽光発電システムを導入する際には、費用対効果を十分に分析しておかなければいけません。
屋根に遮熱シートを設置または遮熱塗料を塗る
冷凍倉庫内の温度を上げる要因の一つとして、太陽の熱によって建物自体が熱を持ってしまうことも挙げられます。そこで有効なのが、太陽の熱を建物内に侵入させない「遮熱シート」や「遮熱塗料」の活用です。
遮熱シートは、窓や屋根に貼るだけで太陽からの熱を反射し、建物内の温度上昇を抑える効果のあるアイテムです。遮熱塗料は、遮熱効果を含んだ塗料のことを指し、屋根や外壁に塗布することで遮熱性能を発揮します。
LED照明へ更新する
照明設備の節電対策として有効なのは、一般電球からLED照明への更新です。LED照明には、最大で80%を超える省エネ効果があります。
(引用元:環境省「LED照明への買換え効果|省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」」)
一般電球よりも電力消費が少ないため、LED電球へ更新するだけで電気代を削減できます。
また、LED照明は一般電球よりも寿命が長いというメリットもあります。一般電球よりも約40倍も長持ちするため、取り替える頻度が少なく交換コストを大幅に削減可能です。
そのため、LED照明への更新費用は必要なものの、長期的に見るとリターンのほうが多いので、更新費用が負担になることは少ないでしょう。
電力会社や契約プランの見直しをする
電力会社との契約プランには、電力使用量や使用時間帯などの組み合わせによって幅広い種類のプランがあります。
例えば、電気使用量が多いほど単価が安くなるプラン、昼間は高くて夜間は安いプランなど。そのため、冷凍倉庫の稼働状況に合っていない契約プランだと、割高な電気代を支払っている可能性があります。
そこで、実際の電力使用量や使用時間帯などに合った効率の良い契約プランへ変更することで、電気代を削減できる場合があります。ただし、契約プランを変更した結果、設備の安定的な稼働に影響を与える可能性があるので、プランの変更は慎重に検討しましょう。
また、契約プランが一つしかない場合は、契約する電力会社を変更することも選択肢となります。電力会社を変更する場合は、実際の電力使用量などをもとに複数の電力会社へ見積もりを出し、その中から納得できる価格の電力会社を見つけることが大切です。
さらに、電力会社選びでは、再生可能エネルギーを利用した電力供給を行っているかも重要なポイントです。再生可能エネルギーを利用している場合、燃料費の高騰などの影響が小さいためです。
今後のエネルギーコストの削減につながることもあるので、今だけでなく将来的にどうなるかもふまえて変更先の電力会社を検討しましょう。
電気使用料が安い夜間に冷却を行う
電気代は、電力使用量が増える時間帯は高めに設定されているため、昼間よりも夜間のほうが電気代が安いです。そこで、電気代の安い夜間に設定温度を下げ、倉庫内をしっかり冷やしておきましょう。
さらに、夜間は人の出入りが少なく、倉庫内にしっかりと冷気が蓄積されます。昼間の設定温度を少し高くしても最適な冷凍・冷蔵環境をキープしやすくなるため、昼間の電気使用量の削減にもつながります。ただし、商品の中には冷やしすぎると品質が低下するものもあるので、品質に影響のない範囲で温度を設定しましょう。
また、電力消費が激しい霜取り作業を夜間に行うのも良いでしょう。昼間に冷凍・冷蔵設備が適切に稼働するようになるため、余分な電力消費を減らすことにもつながります。24時間稼働が必要な冷凍倉庫だからこそ、電気代が安い夜間の時間を有効活用しましょう。
デマンド監視装置を導入する
効率よく電気代を削減するためには、今どれくらいの電力が使用されているかを把握し、こまめに節電対策を講じることが必要です。そこで、「デマンド監視装置」を導入することが、電気代削減に大きく貢献します。
デマンド監視装置とは、電力使用量をリアルタイムで監視する装置のことです。設定した電力使用量を超えると警報が鳴るため、業務中でも効率よく電気使用量の節約ができます。
また、デマンド監視装置による電力管理では、ピーク使用量を抑制することが重要です。そのため、一時的な対策でピーク使用量を抑制できることが多く、商品や業務へ与える影響が低いことも、デマンド監視装置を導入するメリットです。
商品の置き方を工夫する
冷凍倉庫内に新しい商品が搬入されると、わずかですが温度が上がるため、再冷却が必要になり電力使用量が増えます。そのため、保管スペース全体に冷気が流れるよう、商品の高さなどが均等になるように配置し、再冷却時間を短縮させることが大切です。
また、冷凍された商品は保冷剤と同じような役割を果たします。なるべく商品同士を密集させて配置すると、倉庫内の冷気が外に漏れにくくなり、温度がキープしやすくなります。
その結果、冷凍・冷蔵設備の冷却機能が効率的に動作し、再冷却の必要性も下がるため電気代の削減につながるでしょう。
ただし、冷凍庫内に商品を詰め込み過ぎると冷気の流れが阻害され、すべての商品に冷気が行き届かなくなる可能性があります。十分に冷えなかった商品は品質が低下するリスクがあるため、冷気の導線確保と密集度のバランスを考慮することが大切です。
冷凍倉庫の電気代に関するまとめ
冷凍倉庫は、冷凍・冷蔵設備が24時間365日稼働しているので、燃料費の高騰や軽減措置の縮小などによる電気代の上昇は大きな負担になります。
そのため、冷凍倉庫内の設定温度の見直しや出入口からの外気侵入の防止、冷凍設備の定期メンテナンスなど、できることから実践していき、少しでも電力使用量を削減することが大切です。
ただし、電気代の削減方法の中には初期コストが必要なものもあるため、費用対効果の検証を行い、最適な方法を選択するようにしましょう。
ビニプロでは冷凍倉庫の出入口からの外気侵入防止を実現させる高速シートシャッター、のれんカーテン、ビニールカーテンを取り扱っています。
ご予算や冷凍倉庫内の状況に応じて、最適な商品をご提案させていただきます。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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