ターポリン素材の種類と特徴
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「ターポリンとはどういう素材?何に使われている?」
「ターポリンはビニールシートと何が違う?」
本記事では、このような疑問点を持つ方に向けて、ターポリン素材の種類や各種ビニールシートとの違い、主な使用用途など、ターポリンに関する知識について解説します。
- この豆知識の目次
- ターポリンとは
- ターポリン素材の種類
- ターポリン
- メッシュターポリン・ターポスクリーン
- ターポリン素材の特徴
- 防炎性・防水性などの機能性に優れている
- ターポリン1類・ターポリン2類と分類がある
- 一部のターポリンは印刷に対応可能
- ターポリンと各種ビニールシートとの違い
- ターポリンとエステル帆布の違い
- ターポリンとPVCの違い
- まとめ
ターポリンとは
ターポリン素材とは布や織物の両面にポリ塩化ビニル(PVC)を貼り合わせる、もしくはポリ塩化ビニルをコーティングした3層構造のシート素材です。基布には一般的にポリエステルやナイロンが使われています。
ターポリン素材の種類
ターポリン素材には「ターポリン」と「メッシュターポリン」の2つの種類があります。それぞれ違う構造を持っており、特性や使用用途が違います。
ターポリン
上記の通り、布や織物の両面にポリ塩化ビニルを貼り合わせる、もしくはコーティングすることでポリ塩化ビニルを積層させて生まれる3層構造のシート素材です。ポリ塩化ビニルを貼り合わせることにより、通常の布や織物よりも引張強度・引裂き強度が上がっています。
また、表面に積層されたポリ塩化ビニルはビニール傘や排水管、薬品タンク等にも使われている素材です。そのため、ターポリンは単一素材の布と比較して耐久性だけでなく、耐水性・耐汚性・耐薬品性にも優れています。
※全ての薬剤に効果があるわけではありません。ご入用の際は、サンプルでお試しの上、ご購入ください。
メッシュターポリン・ターポスクリーン
メッシュターポリン・ターポスクリーンはターポリンのシート上に無数の穴が開いた素材で、風通しの良さが最大の魅力です。ターポリンの耐久性や耐水性に加えて、通気性や採光性も兼ね備えています。そのため、メッシュターポリンやターポスクリーンは建築現場のような風が吹く屋外で主に使用されています。
ターポリン素材の特徴
ターポリン素材には耐久性以外にも特徴があります。
- 防炎性・防水性などの機能性に優れている
- ターポリン1類・ターポリン2類と分類がある
- ビニールシートの印刷はターポリンがおすすめ
以上3つの特筆すべき特徴について、それぞれ解説していきます。
防炎性・防水性などの機能性に優れている
ターポリン素材は防炎性・防水性が高く、紫外線もカットする機能性の高さが魅力です。ターポリンは難燃性素材のため、燃え始めたとしても自己消化によって燃え広がりが抑えられます。また、耐水性のあるポリ塩化ビニルが表面にコーティングされているので、水を一切通さない防水性も兼ね備えています(メッシュターポリンは穴の開いたシートのため防水性がありません)。さらに、紫外線を90%以上カットすることもできるので、紫外線を直接当てたくない場合などにもターポリンは有効です。
しかし、ターポリンには耐候性がないので、屋外で日光や暴風雨に晒されるような場合には向いていません。2~3年程度であれば、屋外でお使いいただくケースもございますが、それ以上の期間利用するのであれば、「ウルトラマックス」や「バリアス」、「ハリケーン」といったテントシートの利用がおすすめです。ターポリンは様々な機能を持つ高機能素材ではありますが、どのような場面でも万能という訳ではないので注意しましょう。
ターポリン1類・ターポリン2類と分類がある
ターポリンは特に建築現場の養生シートとしての需要が高いため、建築工事用シート専用の規定 JIS A 8952があります。JIS A 8952では引張強度や耐貫通性、防炎性といった規格によって1類と2類に分類されます。
ターポリン1類
ターポリン1類はシートだけで落下物や飛散物による危害防止に使用されるターポリンです。引張強度や引き裂き強度が強いので、シートだけで落下物や飛散物を受け止められます。しかし、強度を上げるためにシートを分厚くしているため、大型サイズなど、重量が大きくなってしまう場合には、ターポリン2類の使用がおすすめです。
- ターポリン1類 VB-050TP (重量:600g/㎡、厚み:0.5mm)
ターポリン2類
ターポリン2類は1類と異なり、シートだけでなく金網も併用することで落下物や飛散物による危害を防止するものです。ターポリン1類よりも強度は下がりますが、軽量なため主にカーテンとして多く使われます。ターポリン2類は1類より軽量且つ薄手の素材のため、小型で使う際におすすめです。
- ターポリン2類 VB-035TP (重量:440g/㎡、厚み:0.35mm)
一部のターポリンは印刷に対応可能
防汚処理(フッ素防汚)を施したビニールシートは、汚れがつきにくいメリットがある反面、同じ原理で印刷のインクも留まりにくい特性があります。
そのため生地の素材やカラーにより、印刷には適さない生地も多くあります。
白のターポリンは、文字入れ・ロゴ印刷に対応することが可能です。
※白以外のターポリン生地にも印刷することは可能ですが、インクがひび割れしやすい点に注意が必要です。
また、ターポリンの中でもメッシュターポリン(ターポスクリーン等)は、マス目サイズによって、印刷できる生地と適さない生地があります。
シートへの印刷をご希望の場合は、ビニプロにご相談ください。
ターポリンと各種ビニールシートとの違い
ここでは、ターポリンと各種ビニールシートの違いを解説していきます。ビニールシートと言っても様々な種類があるので、確認しておきましょう。
- ターポリンとエステル帆布の違い
- ターポリンとPVCの違い
それぞれ違いを解説していきます。
ターポリンとエステル帆布の違い
ターポリンとエステル帆布の最も大きな違いはポリ塩化ビニルをコーティングする元の素材です。ターポリンは長繊維のポリエステル織布であるのに対し、エステル帆布は短繊維のポリエステル織布にポリ塩化ビニルをコーティングします。
エステル帆布に使われる短繊維ポリエステル織布は、長繊維のポリエステルを等間隔に切断したものです。短繊維は工数がかかる分、長繊維よりも高価な素材として扱われるため、短繊維ポリエステル織布を使用するエステル帆布は、ターポリンより比較的高価になります。
また、短繊維ポリエステル織布の方がポリ塩化ビニルを含侵※させやすいため、ターポリンよりも丈夫で重いものがほとんどです。
※含侵:目に見えない巣穴や焼結部分の隙間などに薬剤を入れ、穴を埋めること
ターポリン | エステル帆布 | |
---|---|---|
基布 | 長繊維ポリエステル織布 | 短繊維ポリエステル織布 |
特徴 | 安価で入手可能 軽量でもあるので使用用途が広い |
繰り返されるこすれに対して耐久性が強い ポリ塩化ビニルの含侵により丈夫で重く、長持ち 工数がかかる分高価 |
使用用途 | 建築養生シート、ビニールカーテン、間仕切りカーテン、機械カバー、テント | トラックシート、野積みシート |
ターポリンとPVCの違い
PVCはポリ塩化ビニルの略称で別名をビニールと呼びます。ポリ塩化ビニルは1927年から製造され始めた歴史の長い合成樹脂で、またその汎用性の高さから現在でもいたるところで幅広く利用されている素材です。
ポリ塩化ビニルは軟質と硬質に分かれています。軟質PVCは、業務用のビニールカーテンや機械カバーなど、ターポリン同様の用途としても使用されています。ビニールシート自体PVCを使用した素材のため、PVC製の透明ビニールシートをはじめ、ターポリン同様に基布表面にPVCをコーディングした不燃ビニールシートなど、ビニールシートはポリ塩化ビニルなくしては得られない素材です。
ターポリン | ポリ塩化ビニル(PVC) | |
---|---|---|
製造方法 | 長繊維ポリエステル織布にポリ塩化ビニルをコーティング | 塩化ビニルを重合 |
特徴 | 安価で入手可能 軽量で強度が高い 風通しの良い素材も製造可能 |
非常に軽量で柔らかく安価 透明性に優れている 使用用途が圧倒的に多い、歴史のある材料 |
使用用途 | 建築養生シート、ビニールカーテン、間仕切りカーテン、機械カバー、テント | ビニールカーテン、間仕切りカーテン、機械カバー、工業用・農業用フィルム |
まとめ
ターポリンはポリ塩化ビニルをポリエステル織布にコーティングさせた素材で、1~2年と短期間ですが屋外でも使用可能なビニールシートです。
ターポリンシート、メッシュ状のターポリンシートと種類があり、シートによって様々な機能性があります。用途によってはターポリン以外のシートが適している場合もありますので、この記事の内容を参考に、設置環境に合ったシートをお選びください。
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