事前の備えが重要!従業員の安全を守るための工場の地震対策を紹介
【プロ担当の専門情報】ご購入前に知っておいていただきたい、落下防止ネットの豆知識を多数掲載しています。
近年規模の大きな地震が相次いでおり、多大な被害が生じています。特に、工場は商品や設備、工具など、さまざまなモノが溢れているので、規模の小さな地震でも想定外の影響が発生する可能性があります。
そこで本記事では、工場内で働く従業員の安全を守るために効果的な地震対策について詳しく解説します。
- この豆知識の目次
- 工場の地震対策における事前準備
- 消防計画を作成する
- 事業継続計画(BCP)を作成する
- 工場の建物及び設備に関する地震対策
- 建物の耐震補強を実施する
- 棚や機械設備の転倒・落下を防止する
- 配管や配線に関する安全対策を行う
- 工場の従業員に関する地震対策
- 定期的な訓練と従業員への防災教育の実施
- 非常用設備・防災用品・備蓄品の準備を行う
- 安全な作業環境を作る
- 地震発生時及び発生後にやるべきこと
- 従業員の安全確保と避難誘導を行う
- 応急救護と安否確認を行う
- 事業継続計画(BCP)をもとに復旧作業を実施する
- 工場の地震対策に関するまとめ
工場の地震対策における事前準備
商品や製造設備など、さまざまな機器が存在する工場だからこそ、地震の揺れによって大きな被害が発生することがあります。ここでは、地震による被害から工場内の製品や設備を守る対策を講じるために、事前に準備しておくべきことについて解説します。
- 消防計画を作成する
- 事業継続計画(BCP)を作成する
消防計画を作成する
地震による被害の一つに火災が挙げられます。工場では引火性のあるガスなどを原材料に使用している場合が多いため、火災リスクへの備えが非常に重要です。そこで、工場火災の被害を最小限に抑えるために「消防計画」を作成しましょう。
消防計画とは、建物や施設での火災や災害の発生を防ぎ、被害を抑えるために作成する計画書のことです。この計画書には、被害拡大を防ぐ防火対策、従業員の安全を守るための避難経路の確保方法などを盛り込む必要があります。さらに、避難訓練や防災教育など、緊急時に適切な対応が取れるようにすることも計画に含めます。
また、一定規模以上の工場では消防法第8条に基づき、防火管理者の選任と消防計画の作成・提出が義務付けられています。提出された計画は消防機関による確認を受け、必要に応じて指導や助言が行われます。質の高い地震対策を実現するためにも、消防庁などのホームページを参考に、現状に即した消防計画を作成することが重要です。
<参考サイト>
防火管理ポータルサイト
(引用元:東京消防庁)
事業継続計画(BCP)を作成する
消防計画と同様に、事前に策定しておきたいのが「事業継続計画(BCP)」です。事業継続計画とは、地震などの災害による被害を最小限に抑えたり、迅速に事業を再開したりするための道筋をまとめた計画のことです。
被害箇所や被害内容をあらかじめ想定し、事業再開に必要な復旧作業や優先順位を明確化することで、事業再開への行動指針となり、経済的な損害を最小限に抑えることができます。具体的には、以下のような内容を事業継続計画に記します。
- 顧客情報などが消失しないために、重要なデータはバックアップを残すことでITシステムの復旧を迅速に行えるようにする
- 工場や設備が全て稼働できなくなったときのために、他の場所に代替設備を準備したり、日頃から同業他社と協力体制を築いたりする
さらに、建物や設備の地震保険に加入することで、地震被害による財務的リスクを分散させることも、事業継続計画における重要な取り組みの一つです。あらゆる被害の可能性を想定し、被害軽減対策や事業再開までのロードマップをしっかりと策定しましょう。
<参考サイト>
大切なビジネスを守るBCP事例集
(引用元:経済産業省)
工場の建物及び設備に関する地震対策
地震によって起こる被害には、火災だけでなく工場自体の倒壊や設備の転倒・落下など、さまざまな被害が考えられます。ここでは、工場の建物や設備の破損などを防ぐために有効な地震対策について解説します。
- 建物の耐震補強を実施する
- 棚や機械設備の転倒・落下を防止する
- 配管や配線に関する安全対策を行う
建物の耐震補強を実施する
工場が地震によって被る被害の中で、最も深刻なものが建物の倒壊です。建物が倒壊すると、工場内の設備が全損し、事業再開には建物の再建設や設備の総入れ替えが必要となります。その結果、多大な時間とコストが必要になり、場合によっては事業再開を断念せざるを得ないこともあります。
ただし、耐震補強は建物の構造や現状の耐震性能に適した方法で行う必要があります。まずは耐震診断を実施し、建物の現状を正確に把握しましょう。そして、診断結果に基づき、補強が必要な箇所に対して適切な工事を実施することで、建物全体の耐震性能を効率よく向上させましょう。
また、築年数が長い建物などでは、補強が求められる箇所が多く、全箇所を補強するとなるとコスト負担が非常に大きくなる場合があります。
このような場合は、設備の制御室や重要な設備が稼働しているエリアなど、優先度の高い場所から耐震補強工事を実施しましょう。売上状況や予算に応じて計画的に耐震補強を進め、最終的に建物全体の耐震性能を向上させていくことが重要です。
棚や機械設備の転倒・落下を防止する
地震の揺れによって引き起こされる主な被害が、機械設備の転倒や棚に収納された商品や材料の落下です。
特に、溶接機やプレス機などの重量がある大型設備が転倒した場合、設備の破損だけでなく、近くにいる従業員がケガをしたり、最悪の場合には下敷きになって命を落としたりする危険性があります。
このような被害を防ぐためには、耐震装置や専用の固定具を活用して、設備をしっかりと固定することが重要です。また、地震の揺れを感知した際に設備が自動停止するシステムを導入することで、稼働中の設備や部品による被害拡大を防ぐことができます。
さらに、棚にストックしている商品や原材料、部品などは、比較的小さな揺れでも落下する可能性があります。
地震時の散乱を食い止め、頭上への落下や散乱した陳列物を踏んでしまうなどの事故・けがを防止するために、耐震ベルトを使用して棚をしっかり固定するだけでなく、落下防止ネットを装着することで、棚内の品物が動かないようにしましょう。
落下防止ネットの詳細は、「落下・転落防止ネットのオーダー製作・価格一覧」ページをご確認ください。
また、特に注意が必要なのは、キャスター付きの機器や棚です。キャスター付きのものは移動性が高い一方で固定力が弱く、小さな地震でも大きく揺れ、転倒や品物の落下が起こりやすいです。そのため、キャスターの可動を停止させるだけでなく、耐震バンドを併用して固定することで、転倒や落下を確実に防ぎましょう。
配管や配線に関する安全対策を行う
工場における地震被害の中で意外に多いのが、配管や配線に関する被害です。
機械設備の移動によって配線が切断されたり、地盤のずれで配管が破損したりするなど、さまざまな被害が発生する可能性があります。さらに、漏水や漏電により火災や設備の故障といった二次被害が発生する危険性もあります。
そこで、次のような安全対策を講じて、地震による被害が拡大しないように備えましょう。
- 配管や配線は、押しつぶされないよう壁や天井、大型設備から距離を空ける
- 耐震型ポリエチレン管など、耐震性のある配管へ変更する
- 配線ケーブルは保護材などで覆い、断線や漏電などを防止する
- 天井から吊り下げている配管・配線は、落下しないよう固定器具を装着する
また、配管や配線は日々の使用で劣化するため、長期間使用している場合には経年劣化による破損や断裂のリスクがあります。この状態で地震が発生すると被害が拡大する可能性があるため、定期的に点検を行い、安全に使用できる状態であることを確認しましょう。
さらに注意すべき点は、配管や配線が避難経路を塞がないようにすることです。特に爆発性のあるガス配管や高電圧の電力ケーブルは、普段は移動の妨げにならなくても、地震時には火災や漏電が発生し、避難経路を塞ぐ恐れがあります。避難経路にはこのような配管や配線を配置しないようにし、十分に配慮しましょう。
工場の従業員に関する地震対策
業務中に地震が起きると、仕事をしている従業員が被災してしまいます。特に、火災などの二次災害が起こると、工場内に閉じ込められたり、最悪の場合は命を落としたりする可能性もあります。そこで、ここでは従業員の命を守るための対策を解説します。
- 定期的な訓練と従業員への防災教育の実施
- 非常用設備・防災用品・備蓄品の準備を行う
- 安全な作業環境を作る
定期的な訓練と従業員への防災教育の実施
工場内では、設備の転倒や商品、原材料の落下など、地震時に多くの危険が発生します。そのため、地震の揺れを感じた際には迅速に工場外へ避難できる体制を整えることが、従業員の命を守るうえで重要です。
迅速な避難の実現のために欠かせないのが、定期的な避難訓練と従業員への防災教育の実施です。
地震時に使用する避難経路や行動を周知するだけでなく、実際に避難経路を使用して移動する訓練を行うことで、従業員がスムーズに避難行動を取れるようになります。特に、訓練を通じて避難経路を確認することで、避難経路を塞がないような整理整頓方法の確立など、日常の行動にも配慮が行き届くようになります。
また、避難訓練の実施結果は必ず記録・評価し、時間がかかった場所や分かりにくかった箇所を改善しましょう。避難計画を定期的に見直し改善することで、より安全で効果的な避難方法を確立できます。
さらに、避難訓練に合わせて、救急箱やAED、消火器などの消火設備の使い方や設置場所を従業員に周知するとともに、応急手当の訓練も実施しましょう。こうした訓練を事前に行うことで、二次災害などの不測の事態が発生した際にも柔軟に対応できる体制を整え、安全な避難が可能になります。
非常用設備・防災用品・備蓄品の準備を行う
地震によって停電が発生すると、外部との連絡が取れなくなったり、空調設備が停止したりするなどの問題が生じます。そのため、停電時の被害拡大を防ぐために、バックアップ用バッテリーや自家発電装置の設置・点検を定期的に行い、地震発生時でも可能な限り通常の環境を維持できる体制を整えましょう。
また、地震の規模によっては工場内に閉じ込められる可能性や、外部よりも工場内が安全と判断される場合もあります。そこで、少なくとも三日間は工場内で過ごせるよう、非常食や飲料水、応急手当用品などの備蓄品を準備しましょう。特に、トイレや空調設備が使用不能になる事態を考慮し、簡易トイレや毛布などの備蓄も併せて行いましょう。
加えて、消火器やAED、防災ヘルメット、マスクといった安全を守るための装備や設備も十分に用意しておくことが重要です。これらは工場から避難する際にも役立つため、特にヘルメットやマスクは全従業員分を確保し、全員が安全に避難できる体制を構築しましょう。
安全な作業環境を作る
地震は突然発生するため、作業中に地震が起きると訓練していても迅速に行動できず、ケガをする危険性があります。そこで、避難するまでのケガを防ぐために、安全な作業環境を整備することが重要です。
安全な作業環境を構築するためには、前述のように、機械設備や棚をしっかりと固定して転倒を防ぐことや、棚に収納した原材料などが落下しないように落下防止ネットを装着することが効果的です。
特に、老朽化した天井や壁が崩壊すると大事故につながるため、耐震診断を行い、必要な修理や修繕をあらかじめ実施しておくことが大切です。
また、高所での作業が必要な場合、地震の揺れによって作業中の従業員が落下する恐れがあります。そのため、階段や作業場所に滑り止めや落下防止ネットを取り付け、従業員が落下しないような安全な環境を整えましょう。
落下防止ネットの詳細は、「階段・手すりネットでお子様・ペットの落下防止・安全対策!」ページをご確認ください。
地震発生時及び発生後にやるべきこと
ここまで地震発生前に行っておく対策を解説してきましたが、準備をしていても実際に地震が起こると上手く行動できない場合があります。そこで、地震発生時は発生後にやるべきことを解説していくので、緊急時に適切な対応ができるよう訓練やシミュレーションに活用してください。
- 従業員の安全確保と避難誘導を行う
- 応急救護と安否確認を行う
- 事業継続計画(BCP)をもとに復旧作業を実施する
従業員の安全確保と避難誘導を行う
地震発生時には迅速に避難する必要がありますが、全従業員が一斉に移動すると、避難経路が詰まったり、慌てて移動することによってケガをする危険があります。そこで、地震の揺れを感知したら、各作業のリーダーなどが中心となって状況を把握し、必要に応じて作業ごとやエリアごとに避難行動を行いましょう。
具体的には、以下のような流れで作業場所や工場からの避難を行います。
- 各作業・エリアのリーダーは、身を守る行動・姿勢をとる、その場で待機するといった指示を出す
- 高所作業や重機を使用している場合は、作業を即時中断し安全な場所へ移動させる
- 揺れが収まったら、各エリアの安全確認担当者が避難経路を確保し、避難担当のリーダーが避難誘導を開始する
- 緊急医療担当は、負傷者がいないか確認し、必要に応じて応急処置を行いながら避難を支援する
各作業やエリアのリーダーが避難経路の確保などを行うと、部下たちは適切な指示を受けられなくなる可能性があります。初期行動は問題なくても、避難時に混乱が生じる恐れがあるため、なるべくリーダー以外の従業員が安全確認担当者や救急医療担当者を務めることが望ましいです。
また、上記のように各リーダーや担当者は、自分の役割を果たしながら多くの従業員を誘導する必要があります。そのため、事前に役割分担を定めるだけでなく、さまざまなケースを想定した避難訓練を実施しておくことが重要です。
応急救護と安否確認を行う
工場内には、機械設備だけでなく、商品や原材料、工具などさまざまなものがあるため、工場は他の場所に比べてケガをしやすい環境です。そのため、避難訓練に合わせて救護訓練を実施し、ケガの手当方法や担架での移動方法など、負傷者がいた場合でも安全に避難できる体制を構築しておきましょう。
また、通勤中や終業後など業務時間外に地震が発生した場合、従業員の安否確認を行う必要があります。緊急連絡網を活用して全従業員に連絡を取り、安否や現在の状況を確認し、自宅待機や帰宅指示など、従業員の安全確保に努めましょう。
事業継続計画(BCP)をもとに復旧作業を実施する
地震発生後は、建物や工場内、機械設備などの地震による被害状況を確認しましょう。ただし、規模の大きな地震の場合、余震によって被害が拡大する可能性があります。そのため、すぐに全従業員が工場内に入るのではなく、リーダーなどの代表者だけが安全確認を行うようにしましょう。
また、被害状況や安全確認を行いながら、事業継続計画に基づいて復旧作業を進めていきます。
しかし、人員が不足していたり、機械設備の状態が不安定だったりすると、すぐに想定した状況まで復旧できないこともあります。素早く復旧しても、余震によって元の状態に戻ってしまうこともあるため、最初は応急処置を行い、徐々に本機能へと復旧を進めましょう。
工場の地震対策に関するまとめ
地震によって工場が受ける被害は、揺れによる機械設備の倒壊や、保管している原材料や商品の落下にとどまりません。火災や漏電、停電による閉じ込めなど、さまざまな二次災害が発生し、従業員が危険にさらされる可能性があります。
そのため、消防計画や事業継続計画の策定、建物の修繕、避難訓練など、平時から従業員の安全を守るための対策を講じることが重要です。
また、今回紹介した対策の中でも、手軽に実施でき、かつ効果の高い対策として「落下防止ネットの取り付け」が挙げられます。落下防止ネットは、原材料や商品の落下だけでなく、高所作業中の従業員の落下を防ぐ効果もあるので、地震発生時以外の場面でも効果を発揮します。
ビニプロでは、マス目の大きさやカラーなど、さまざまな種類の落下防止ネットを取り扱っています。
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