強風と豪雨を伴う台風は、建物への損害だけでなく、工場内の設備や機械の故障を引き起こす可能性があります。また、建物外に置かれた備品が飛ばされ、周囲の建物や住民に被害を与える恐れもあります。

こうした台風被害を最小限に抑えるためには、日頃から工場内外でしっかりとした台風対策を施しておくことが重要です。

本記事では、被害を軽減するために有効な工場の台風対策について詳しく解説します。台風対策をこれから検討したい責任者の方は、ぜひ参考にしてください。

この豆知識の目次

工場の台風対策が必要な理由

工場や設備を守るための対策

建物の点検や補強を行う

排水設備の点検や清掃を行う

設備や在庫品の保護を行う

従業員の安全確保の方法

作業中断し避難をする

避難訓練を実施する

備蓄品の確保を行う

緊急時の連絡体制の確立

第三者への被害を防止するための対策

迅速に工場の生産活動を再開させる方法

事業継続計画を作成する

非常用電源を確保する

システムの冗長化とデータのバックアップを行う

サプライチェーンの確保を行う

保険に加入する

工場の台風対策に関するまとめ

工場の台風対策が必要な理由

台風によって工場にもたらされる損害・被害には以下のようなことが挙げられます。

• 建物や設備の物理的な損害
• 他の建物への物理的な損害
• 第三者への人的被害

特に注意が必要なのが、台風の強風によって外の備品などが飛ばされてしまい、周囲の建物や人へ被害を与えてしまうことです。自社工場の設備が原因で被害が拡大すると、損害賠償などのリスクが発生するため、周囲に被害を与えない対策が必要です。

また、雨が工場内に入り込んでしまうと、機械や設備が故障したり、漏電などにより従業員が危険に晒されたりしてしまい、事業継続に大きな影響を与えることもあります。台風通過後に迅速に生産活動を再開させたり、従業員の安全をきちんと確保するためにも、台風対策は欠かせません。

工場や設備を守るための対策

台風による被害に備えたいと思っても、具体的にどのような対策が必要なのか、イメージできない方も多いでしょう。そこで、工場や設備を守るために有効な対策について解説します。

• 建物の点検や補強を行う
• 排水設備の点検や清掃を行う
• 設備や在庫品の保護を行う

建物の点検や補強を行う

台風に伴う強風は、軽いものを飛ばすだけでなく、工場自体にも大きなダメージを与えることがあります。強風で割れた窓ガラスが周囲に散乱し、設備の破損と被害の拡大という二重の被害が発生することもあります。

そのため、屋根や外壁、ドア、窓といった台風の被害を受けやすい場所の状態を確認しましょう。老朽化や破損が見つかった場合は迅速に補修・修繕を行い、ドアや窓にはシャッターを設置するといった対策が有効です。

また、大きな出入り口には、強風が工場内に入り込まないよう防風ネットの設置も検討しましょう。防風ネットは、通気性を確保しながら強風を防ぐことができ、簡単に開閉できるため、日常業務に支障をきたしません。

さらに、防風だけでなく防雪としての効果もあるため、風雨と雪の両方を同時に防げるコストパフォーマンスの高い対策としておすすめです。

ビニプロでは隙間風対策、強風対策、強度・耐久性などの目的によってサイズオーダー・フルオーダーメイドにて1枚から製作します。

防風ネットに関する詳細は、「防風・防雪ネットのオーダー製作・製品一覧」のページをご確認ください。

排水設備の点検や清掃を行う

台風の大雨によって工場内が漏水や浸水などの被害を受ける要因の1つは、排水設備が詰まり、正しく排水できない状態になっていることです。

そのため、排水溝の状態を定期的にチェックし、必要に応じて排水設備を清掃し、正常な排水が流れる状態を保つようにしましょう。

また、排水ポンプの稼働状況や予備ポンプの動作確認といった各設備の点検も重要です。日常的な雨量では問題がなくても、台風のような大雨時には対応できなくなることがあります。雨天時に問題がないからと安心せず、定期的に点検を行い、適切に対処しましょう。

設備や在庫品の保護を行う

実際に台風が近づいてきた場合、重要なのは工場内の設備や在庫品が雨で濡れないようにすることです。

漏水や浸水によって設備や在庫品が濡れてしまうと、事業再開に時間がかかるだけでなく、品質が低下し出荷できなくなるなど、経済的な損害が大きくなります。

そのため、台風が近づいたら設備の電源を切り、ショートや感電を防ぎましょう。ビニールシートや防水カバーで設備を覆い、直接濡れないようにすることも設備の故障防止に非常に有効です。

さらに、工場の1階部分は浸水の可能性が高いため、マグネット式止水板や土のうを設置して浸水対策を講じることが必要です。

マグネット式止水板の詳細は、「浸⽔対策⽤⽌⽔板-マグネット脱着式「スーパー止水番2」」のページをご確認ください。

また、移動可能な在庫品や設備は2階以上の階へ移動させ、浸水被害の拡大を防ぎましょう。設備の重さや設置場所に応じた柔軟な対策を行い、設備や在庫品を大雨から守りましょう。

従業員の安全確保の方法

続いて、台風が接近してきたときに工場内にいる従業員の安全を確保するための方法について解説します。

• 作業中断し避難をする
• 避難訓練を実施する
• 備蓄品の確保を行う
• 緊急時の連絡体制の確立

作業中断し避難をする

台風が接近すると、公共交通機関の停止や河川の増水による道路の通行止めなど、さまざまな要因で帰宅が困難になる場合があります。そのため、台風が接近した際は、すぐに作業を中止し、従業員に早期帰宅や避難を指示しましょう。

特に大型台風の接近が予想される場合は、可能であれば業務を休止し、出勤を控えることも重要です。

また、設備や在庫品の保護など、工場内で台風対策を行っている最中に天候が悪化し、帰宅が困難になる可能性も考えられます。商品や設備の移動といった対策も大切ですが、何よりも従業員の安全確保を最優先にしましょう。

避難訓練を実施する

命の危険が迫るような緊迫した状況では、思考がまとまらず、正しい行動が取れないことがあります。そのため、定期的に避難訓練を実施し、緊急時の対応や避難経路を確認しておくことが重要です。

訓練を繰り返すことで、緊迫した状況でも冷静に対応でき、正しい避難行動を取れるようになるため、訓練の時間をきちんと確保しましょう。

また、台風による被害が大きくなるほど、安全に工場から避難することが最優先となります。工場周辺のハザードマップを準備し、浸水想定区域や避難場所、避難経路を事前に確認しておき、緊急時に迅速かつ安全に避難できるよう準備しておきましょう。

備蓄品の確保を行う

業務中に台風が接近し、被害の拡大スピードが速い場合、外へ避難するのが難しくなることがあります。このような状況では、無理に外へ避難するよりも、工場内で待機するほうが安全です。

そこで、どのような状況にも対応できるよう、緊急時の食料や飲料水、救急用品などを十分に備蓄しておくことが、従業員の安全確保につながります。

ただし、備蓄していても、消費期限や利用期限が過ぎていると食べたり使ったりできません。備蓄品は定期的に点検し、期限が近いものは消費して新しいものに入れ替える「ローリングストック」の手法を取り入れ、備蓄品の品質を保つようにしましょう。

緊急時の連絡体制の確立

台風が接近したときの指示や連絡は、従業員の安全を守るために非常に重要です。しかし、出張などで指示を出す責任者がその場にいない場合、他の従業員が判断に迷い、すぐに行動できないこともあります。

そのため、緊急連絡網を整備したり、指示を出す責任者を複数設定したりして、どのような状況でも避難指示を出せる体制を構築しておきましょう。また、台風接近時の出勤ルールや休業基準を事前に定め、ある程度各自で判断して行動できるようにしておくことも有効です。

第三者への被害を防止するための対策

工場の台風対策で忘れてはいけないのが、周囲の建物や住民への被害を防止するための対策です。

例えば、台風によって発生する第三者への被害として、屋外に置かれた資材や廃棄物が強風で飛ばされ、建物を傷つけたり、住民に当たってケガをさせたりすることが挙げられます。

そのため、自社の建物や従業員を守る対策と同時に、第三者に被害を与えないような対策も必要です。

具体的には、パレットや外のドラム缶などの軽量な物品は風で飛ばされないよう、工場内など風の影響を受けない場所に移動する、固定するなどの対策を行いましょう。

さらに、定期的な建物の点検・メンテナンスも、第三者への被害防止に非常に有効です。周囲の建物や住民に迷惑をかけないような意識を持ち、日頃の点検を怠らないようにしましょう。

迅速に工場の生産活動を再開させる方法

最後に、台風の被害を受けてしまっても、迅速に工場での生産活動を再開させるための対策・方法を解説します。

• 事業継続計画を作成する
• 非常用電源を確保する
• システムの冗長化とデータのバックアップを行う
• サプライチェーンの確保を行う
• 保険に加入する

事業継続計画を作成する

台風対策に力を入れていても、想定外の被害に遭うことがあります。そこで、台風による被害内容や生産活動の再開までの手順をまとめた「事業継続計画（BCP）」を作成しましょう。

事業継続計画では、電力供給や通信設備、物流経路など、事業の継続・再開に必要な機能を確保するための具体的な計画を策定します。例えば、事業停止による損失額の推定や、優先して稼働させる設備を事前に決めておくことで、被害を受けたときでも迅速に事業を復旧でき、損失を最小限に抑えることが可能です。

災害時にはやるべきことが多く、迅速に状況を判断して適切な行動を取るのは非常に難しいです。台風シーズンが到来する前に事業継続計画を作成し、万が一の事態に備えておきましょう。

＜参考サイト＞
大切なビジネスを守るBCP事例集
(引用元：経済産業省)

非常用電源を確保する

台風による強風や雷の影響で、地域の給電システムや送電網にトラブルが生じ、停電する場合があります。停電すると工場内の機器がすべて停止し、生産活動ができなくなります。

さらに、正しい手順で機器を停止できないことなどで機器が故障し、復旧までに時間やコストがかかることもあります。

そのため、停電が発生しても機器が停止しないよう、工場内に非常用電源を確保しておきましょう。

ただし、非常用電源があっても、工場全体の機器を長時間稼働させることは難しいです。非常用電源に切り替わったら速やかに正しい手順で機器を停止し、避難や安全確保のために電力を使用するようにしましょう。

システムの冗長化とデータのバックアップを行う

浸水などで故障した機器や設備は修理によって復旧することができますが、内部に保存されているデータまでは復旧できない場合があります。特に、顧客データや注文内容などのデータが破損してしまうと、事業を元通りに再開させるまでに長い時間がかかる可能性があります。

そのため、システムの冗長化を行い、データの破損を防ぐ対策が必要です。システムの冗長化とは、サーバーなどの設備と同じ機能やデータを持つ予備機を用意しておくことを指します。メイン機が使用できなくなっても、予備機を稼働させることで迅速にシステムを復旧することができます。

また、顧客情報などの重要なデータは日頃からバックアップを取ることも重要です。バックアップデータはクラウドサービス上に保管しておくと、工場内の機器が故障してもデータの破損を防げるため、クラウドサービスも積極的に活用していきましょう。

サプライチェーンの確保を行う

台風によって物流が停滞すると、自社工場で生産できないことによる被害と、他社工場で生産できないことによる被害の2つが発生する可能性があります。どちらの場合でも、取引先やサプライチェーンへの影響が大きく、最終的な製品やサービスの提供に支障をきたすことがあります。

そのため、台風対策の一環として、複数のサプライヤーや物流ルートを確保し、取引先やサプライチェーンへの影響を最小限に抑えることが重要です。また、台風の影響で資材の調達が難しくなることが予想される場合には、通常よりも多めに在庫を確保し、工場での生産活動が停止しないよう備えることも効果的です。

保険に加入する

台風によって工場内の機械設備や建物が被害を受けた場合、修理や復旧にかかるコストが大幅に増加する可能性があります。そのため、火災保険や機械保険に加入しておき、修理・修繕コストを抑えることが重要です。

保険に加入すると、平時に支払う保険料が発生しますが、台風被害による復旧コストを大幅に削減できます。総合的に見れば、保険による補償は経済的なメリットが大きいため、補償範囲を比較検討し、自社工場の規模や状況に適した保険を選びましょう。

工場の台風対策に関するまとめ

台風による被害は、想定以上に拡大することが多く、周囲の建物や住民、さらには従業員を危険にさらしてしまう場合もあります。

そのため、単一の対策だけでなく、複数の対策を同時に実施し、総合的に被害を軽減することが重要です。特に、台風対策は平時から準備しておくことが大切なため、台風シーズンに入る前から対策を始めましょう。

ビニプロでは、設置するだけで効果を発揮する防風シートや、工場内への浸水を防ぐ浸水防止板など、台風対策に有効な便利アイテムを取り扱っています。

これらの商品は、工場の出入り口の大きさに合わせたオーダー加工も可能で、サイズ不一致によって風や水が侵入することはありません。

さらに、浸水防止板に企業のロゴを入れるなど、さまざまなオプションもご用意しています。台風による被害を抑えたい方や、本記事を読んで台風対策に本格的に取り組みたいと感じた方は、ぜひ一度ビニプロへお問い合わせください。